++ 作 者 贅 言 ++

みなみやま】【作者贅言跡地
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2018/5/2

ベトナム暮らし。
なぜ仕事を辞めてベトナムに来たのかを考えてみると、あまり考えていなかったようで、まあ、ノリと勢い、と言うほかない。行けることになったから、来た、というのが最も近い気がする。KLAS留学を決めた時と同じ。
詳しく考えてみるならば、「限界を覚えていた」からであろうけど、そんなに自覚はしていなかった。要するに、ノリと勢い。
小説のこと。「九州さが」をいただいて3年。「決戦!」で、ようやく前に進めるように思われて、その点も、日本を離れた甲斐があったと思う。この2年が勝負の時であろう。
ちらついた幸運は?む。
光秀がらみで長編を書こうという矢先に、明智光秀が大河ドラマに決まった。原作を逃した――という思いもあるが、新人として出そうという長編で、これほどの幸運もあるまい。逃さず、良いものを書かねばならない。
この3年は、論文を数本書いたほかは、長編の失敗を繰り返した。もう題名をいちいち挙げておくには及ばない。
このページもいずれ閉じることになる。

作後贅言類 2015/8/28

■1年ぶり。
2冊目の日記あり、ただメモを残す。
修士論文完成、博士課程入学、また何より「九州さが」を受賞。喜びにひたるも、「これほどもかかった」という感もある。要すると、過去すべて安易であったということである。昨年10月15日は、見たところ、「老虎の檻」を投稿の直後。それからの変化を思う。
■昨年10月からの1年――ということであれば、おそらく10月までには、今川の長編が完成する。とするとこの1年では、長編2、修論1、書き直し2、中編1、短編3となる。決して多くはないが、今の長編で、小説の書き方がつかみ得れば良い。あと少し。
以下、書き上げたものメモ。
「秘密の勇者の最強剣」……長編。投稿。「ドリル」の書き直し。とくに後半が「精度低い」ので、まったく違うものとした。安易な箇所は一つとして残すべきではないと痛感。
「傍らの星間通信」……往復書簡書き直し。きちんと評価を受けたいと、改めて投稿したものの、一次にもかからず。展開地味すぎるのか。もうあきらめた。
「地味系僧侶と桜の妖精」……長編。「小説家になろう」で毎日連載。応募したが一次にもかからず。「なろう」は容易ではない。毎日連載や「なろう」投稿は良い経験となる。読者が近い。改めて挑みたい。
「宮様の波斯剣」……「日本史D」掲載。室町時代&伝奇は、これまた興味深い。短編用の作。これは、さほど書き直す意欲ないけれど、術の描写など、良い経験をさせてもらったと思う。
「マラカ瑣記」……「世界史C」掲載。1万字という制約により前後を切ったせいか、おもしろい。調子に乗って100枚に書き直し「南海に消えゆく」と題して人に見てもらったところ、ケチョンケチョンだった。出直すこととする。「トマス荒木」とあわせて、いずれ長編でやり直さなくちゃいけない。
「朱雀門千枝子の暗殺成功」……てきすぽどーじん8号掲載。「九州さが」が無かったら、長編にしていた。ラノベ&平安貴族&怪異はまた書きたい。
■こうしてみると、書き直したい、再挑戦したい、そんな欲求が高まっている。去年の「遙か銀河のディメンション」「七難七福」も磨き直す価値ありと思う。書く時間が欲しい。

作後贅言類 2014/10/15

■一年半ぶりメモ。
 日記あり、ただメモを残す。
一年半のうち、新規長編2、書き直し長編2、中編5、短編5。他に、宇治拾遺完訳、電子書籍化。修論作成中。
修士論文は、ものの調べ方、まとめ方が劇的に変ったのが何より良かったと思う。あと2月で完成。ああ。
「七難七福」……80枚、未了。時代。時代劇らしい時代劇を意識。主人公の格好良さ、強さ。敵。伝奇性。もうちょっと書き込めるから、長編にした方が良いかもしれない。
「錦舎水揚合戦」……80枚、未了。時代。鄭成功の息子。伝奇性を強化すれば、すぐれたものに仕上がると思う。
「遙か銀河のディメンション」……SF長編。投稿。あらすじ書いてみるとおもしろいので、もうちょっと書き込めたらしい。
「怨憎流転」……時代劇80枚。投稿。「人魚の怨み――」の改稿。生き方、伝奇性を念頭に。題名は良いものになった気がする。
「老虎の檻」……時代劇80枚。投稿。武田信虎。2年前に書いてそのまま放置していたものを改稿し、投稿。信虎はおもしろい人物だと思われる。長編にすれば良かった気がする。
「暁の魔王勇者」……長編。三度目の「洞窟の」書き直し。三度も書き直し、投稿したのは初めてだ。思い入れがある……けど、読者が読みたいものとは違うなあという気がする。
「KDP作家殺人事件」……書いて1年ほど放置。状況が変ったこともあり、あんまり思い入れが無い。純文学を志向したけど、まー、違うな。
「秘密の勇者のドリル(長編)」……長編、投稿済。愛着ある。落ちたなら何か選評めいたものが欲しいが。
「朝のブルジョワジ」……続きが読みたくなる第一話、という規程で書いた。これ続き書けると思うのだけど、今ひとつ気乗りがしない。
「秘密の勇者のドリル」……てきすぽどーじん7号掲載。さらに笑える小説を考え続ける。笑い話を書くのを、ここ一年ほどのテーマとしていて、これの長編でひと区切り。枝雀の言う「緊張の緩和」というのは、一つは「ギャップ」であろう。そこら辺、「勇者」だとか「大学教員」「サンタ」といった定型的な連中を困惑させる状況へぶちこむと、一つの笑いができる。小説的な笑いとは、そこら辺が書きやすい。他にあるんだろうか?
「サンタの逃走」……てきすとぽい「クリスマス短編」参加。笑える小説を考え続ける。既存の「キャラクタ」に適用する。
「中食論」……てきすとぽい「食欲の秋」バトル参加、優勝。笑える小説を考える。「大学教授」という「緊張」と、「空腹」なる「緩和」材料をまぜこむ、古典的手法。これであれば、まずまずうまく行くだろう。
「発酵人種」……てきすとぽい1時間バトル。笑える小説を考える。試行錯誤。「皮肉」は大笑いには結びつかない。
「職安を出でし勇者よ」……「洞窟の」の書き直し。タイトル負けだそうだ。確かに、もうちょっと書けただろう。

作後贅言類 2013/05/17

■やっぱりほぼ一年ぶり。
 例の如く、日記があるのでこの贅言の意味はないのだろうけど、作後の感想を整理する場は欲しい。
■この一年の間に書いたのは、一覧によれば、「厚婦の生肝」「ラララ・フィフティ」「洞窟の大魔王リストラクチュア!」「高木鑑房の魔法」「アンビギュアス彼女」「熊太郎神社由緒」「老虎の檻」……あら、これだけか。
 ほかに、あと1巻だけになった宇治拾遺の現代語訳と、改稿3編「アンビギュアス(改題:学園探偵とアンビギュアス彼女)」「ナツメグ&シフォン(改題:史上最高の呪殺師)」「この青い闇を白い朝日に変えるまで」、未完の中編「人魚の怨み武士道鑑」「KDP作家殺人事件」。
 新規の長編2本、書き直し長編3本、中編3本、短編3本。うち投稿3本(+これから2本)。
 投稿を企図して、中長編に集中しているので、数で比較はできない。
「厚婦の生肝」……てきすぽどーじん6号のため。室町時代の小説を書きたいと思い、材を探すべく、謡曲や狂言のデジタルアーカイブスを見ていたら、これが見つかった。ネット検索にもひっかからない、滅びた話だけれど、意外と現代的な展開だから興味深かった。文体を意識。この文体が、まず、あたくしのものになってきている感。
「学園探偵とアンビギュアス彼女」……書き直し。相当におもしろいものが書けた、これがあたくしのラノベの完成形だなどと思うていたけれど、評価シートをもらい、読み返してみるといかにも不親切、不充分で、企図していた特色も曖昧模糊としていて、どうにもひどかったのが意外なほどで、とにかく、読者には親切に。読むのは読者なのだという、これまたのことを感じ取った次第。
「KDP作家殺人事件」……未了。文体に重点を置いて完成させ、投稿する。KDP作家が増えている今書いて置かねばならないと思うのだけれど。
「人魚の怨み武士道鑑」……未了。「五色狐」でうまくいったところを意識して書こうとして、失敗した感あり。時代劇には、人間の生き方を描かねばならんような気がするけれど、どうもそれが弱いのかもしれない。
「洞窟の大魔王リストラクチュア!」……長編、結果待ち。おもしろいと思うのだけれど(そればかり)。
「ラララ・フィフティ」……1時間バトル用。書いたように書かれる、という点を再認識するために書いた。どういうことかといえば、後半、わけのわからぬテロリストを登場させて、あり得べからざる終り方をすることが、成立するのかと疑わしかったのだけれど、成立したので、なるほどと思うた。個人的な小細工として、「……」をコピペで並べた点は、おもしろかった。
「史上最高の呪殺師」……ナツメグ&シフォンの書き直し。投稿して結果待ちだが、発想が平凡なので、一次くらい通るが当ることはあるまい、と思うがどうか。
「この青い闇を白い朝日に変えるまで」……書き直して、そもそもの発想が物足りないのだと気づき放棄。でもせっかくだから、どこかに出してしまうか。。。
「高木鑑房の魔法」……九州さがに投稿するため、九州さがを舞台にした小説を書いたのだけれど、一次も通らなかったので、また作戦を考えなくちゃなるまい。
「アンビギュアス彼女」……文体を意識して、饒舌でやってうまくできたように思うたけれど、一次落ち。
「熊太郎神社由緒」……文研MOSAIC5号のために書いたけれど、作品が集らず、MOSAICが頓挫。どうしよう。でも古典文法で書いているから、いつかどこかで使えるだろう。古典文法は拙すぎるので、もっと練習が必要。
「老虎の檻」……夏の山梨旅行の成果。九州さがへ出そうとしたけれど、今ひとつだったから放棄。武田信虎の晩年は、今なお興味をそそられる。
 短編を書いてないなあ。。と思いつつ、なかなか機会が無いと書かずともの念が。

作後贅言類 2012/06/26

■よく見たら1年、贅言を書いていない。
 日記を書いているので、もはやこの贅言の意味はないのだろうけど、まー、一応の記録がてら、作後贅言のたぐいを整理しておく。
■この一年の間に書いたのは、一覧などを見ると、「多摩江の秘密」「空想小説・セナトレックの盾」「正徹なぐさめ草」「記憶した初恋の惑溺」「尾張国司橘俊綱、熱田大宮司と争論の事」「120年」「岐路の一答」「不可捨(すつべからず)」「秘剣鬼切」「木屋瀬川合戦」「連載リレー小説の第伍話」「五色狐伝(七色狐改)」それから、「なぐさめの本草」「恋つばき自由都市奇譚」「連載リレー小説の第拾話」「初恋探偵物語、1章・落下物由緒」という感じか。
 長編2本、中編3本、短編11本。
 ほかに宇治拾遺物語の現代語訳をぼつぼつやっているので、まー、どうでしょう。懲りること無く書き続けているのだなあと、ほっとするやら、あきれるやら。
「多摩江の秘密」……書き出しの一文指定。一文の候補を、あたくし自身が挙げてしまったため書いたものの、その程度の動機ではなかなかおもしろいものに仕上がらず。
「セナトレックの盾」……架空アニソンを生で聴いて感動、書いたもの。歌い手本人に手渡したけれど、やはり難しい。
「正徹なぐさめ草」……室町中期、歌僧とよばれる、要するに遊民の稚児への片恋。資料として読み、感心。室町は書きたいので、勉強を続ける必要がある。この手の話には「動き」をつくるキャラクタ、リズムを乱すキャラクタが欲しい。
「記憶した初恋の惑溺」……素人小説の合評時の常套句「読みやすい/読みにくい」「日本語が云々」の辺りを、逆向きから徹底的に破壊したかった。ざまを見ろ。
「橘俊綱」……宇治拾遺より。俊綱は、主人公キャラとして非常に魅力的であってみれば、もう少し勉強して、さらに書いてみたい。
「120年」……SFを書くべし、という念を抱き続けていたのは、実はハヤブサの影響だと思われる。「途方も無い」という宇宙の大きさを単純に主題に置いた。しかしその主題以外、展開のさせ方が分らず、柴練式に合体殺法(落語の宿屋仇)を用い、さらに結び方がわからなかったため、読み返していた里見クの短編を持って来た。
「岐路の一答」……テキスポ最後の作。800字バトル用。これが最後というのが、あたくしのテキスポ生活らしいかもしれない。森鴎外「舞姫」に感心して以来、ずっと書きたかった(擬)文語体。鴎外は普通に口語体で小説を書いている人で、ドイツ留学の矜恃を敢えて文語でやったところにすごさがある――ならば、寂しいおたくが人間関係に「気取り」を持ち、片意地を張って擬古文を言っても良かろう。800字であればこそ読み得ると思われるが、擬古文を使って、もっと何かやれないだろうか。
「不可捨」……テキスポ滅亡後、残党ブログにて書いたもの。1時間バトル企画であったか。宇治拾遺で調べたネタを捨てきれず、といって使い道が無いのでここで用いた。大したものじゃないけれど、「書いたように小説は成立する」ことが見えたかも知れぬ。
「秘剣鬼切」……長編時代劇、室町中期。上記「正徹」で調べた時代。反省材料だらけだ。その中で、今この贅言を書いていて、なぜ正徹を出さなかったのかを謎に思った。イメージを先行させて書いては仕損ずる。何を書くのか、そういった主題も無しに長編が書けるわけが無いと悟った徒労作。ひとつ区切りがついた気がしないでもないが。
「木屋瀬川合戦」……テキスポ残党の企画に乗り、北九州市の小説を何か書こうとしていて、「逆鱗余聞」なる古書をデジタルアーカイブスにて発見。デジタルアーカイブスの価値の高さ。やはりここでも「何でも書ける」ことが分る。
「連載リレー小説第伍話」……テキスポ残党の企画。文研でリレー小説をやったときは、2度とも最終回を担当し、如何に物語を結ぶかという、大きな勉強をしたが、「途中」ではさして勉強にもなるまいと、書くつもりはなかったけれど、2〜4話のリズムを崩したいという欲求が生じたため、書いた。文研時代、田中さんという人が「リレーの楽しみは、次の奴を困らせることだけだ」ということを言っていたのを記憶。如何に途方も無い展開にするかを考える。ここでもまた、「何を書いても、書いたとおりに小説は成立する」ことを感ずる。
 そろそろ疲れてきたぞ。
「五色狐伝」……もともと、「超能力」をテーマにした小説を書くネット小説グループの企画に乗って書いたもの。とはいえ、挿絵を描いてもらう必要があり、また存外良いものになったので、別に投稿用に書き直した。七色狐という題名だったが、虹は支那において五色だと検索に出てきたので、二色減じた。内容、すべて嘘である。嘘は、どの程度許容されるのだろう。
「なぐさめの本草」……そういう次第で、挿絵が描きやすそうな中世ヨーロッパを舞台に、BL要素を入れて書いてみようと思い、書いた。存外平凡な出来になったが、展開にせよ、人物像にせよ、文体がすべてを縛るものだと確信。結び方が今ひとつ分らず、困惑したものの、「書いたとおりに成立するのだから」と、強引に結んだ。終れたと思われる。
「恋つばき自由都市奇譚」……以前の長編「幕府転覆始めました」が、軽すぎると蹴散らされ、なるほど確かに軽すぎると奮起、物語舞台をしっかりと作り上げるところから始めた。ブローデル「地中海」をもとに、地形風土、気象民族性、都市成立の歴史。そこら辺を書いているうちに、自然と物語が出来上がって行くからおもしろい。「書いたとおりに物語は書かれる」わけであれば、イメージを先行させる必要などないわけで、第一章60枚以上にふくれあがったものを30枚ほどに圧縮、書き直しの苦労はあったけれどこのたび書き上がって、投稿できる。後半の五章、六章で用いた、ブレイン・ストーミングがまことに便利。読み返してみると存外、散漫としていないでもないけれど、書かれるべき周辺事情が網羅できるので、長編では今後、活用するべきかと思われた。全六章で構成。短い話をつなげる方法は初。連作形式の「眠狂四郎」で気づいた。
「連載リレー小説 第拾話」……9話から先、誰も書かなくなっているのが気持悪く、一応の結びのつもりで書いた。物語がメタ構造を持つ、上部構造を持つ、というのは、作者の怠慢というか独善だと思われ、この際「物語」という存在を出そうと思ったけれど、あまりに不親切であり、すだちに留めた。すだちは絶えず「まどかマギカ」のキュウベエであった。前に、「まどかマギカ」は「エヴァンゲリオン」ほどの訴求力を持たぬと思ったけれど、物語中のメタ存在が幼稚な姿をとる――というのは「まどかマギカ」の強さかもしれない。これも「書いたように書かれる」の感。
「初恋探偵物語1章」……徹底的な饒舌を持ち込み、失敗を続けたライトノベル・ミステリに再度挑む。連作形式だから使えるはず。書いたとおりに書かれるのだから、饒舌も問題ないと思われるが、どうだろう。てきすぽどーじん5号に載せて、残党一同の感想を求めたい。
 ……以上、一年分。当人でさえ読み返すことはないと思われる。
 

「老後」作後贅言 2011/06/24

■宇治拾遺物語第三巻「雀報恩事」である。
 現代訳をした時から、昔話などに出てくるような、隣には意地の悪いばあさんがいて――といった展開ではなく、みなが善良である点が非常に印象的であった。
 することの無い年寄――は、今も昔も、正直なところ「厄介者」であり、ことに儒教精神の入る前では、困り果てることであったろう。また同時に、年寄の側も、何もさせてもらえないのでは肩身が狭かったと思う。
 その辺の難しさ、むなしさといったものを、小説にしたかった。
 いかに、老人の介護は尊い――といったところで、物理的経済的負担になるのは避けがたい。じゃあどうしたら良いのさ、と言われたって、知らんのだけど、美化するのでもなく、主張するのでもなく、小説として書いておきたかった。
■ばあさんを区別するため、井戸の、桑の木のとしたのは創作。また宇治拾遺では、最後で毒虫のために家族まで皆殺しにされるのだけど、皆殺しにすると話が変ってしまう気がしたので、ばあさんだけ殺すこととした。余計な解説もつけなかった。
 その他、基本的に原話そのままの筋運びとした。
 それから時代背景等をいちいち意識しなかったけれど、別に意識しなくても良いのだなあと思った。

「夏の帰り道」作後贅言 2011/06/17

■短編のコツというようなものが、得られたかもしれない。
 といっても単純なもので、最後の場面を念頭に置いたら、それと真逆のことを、そのひとつ手前の段階に置けば良い――というもの。とりあえず、「ひとつ落し」と名付けておく。
 最後に実は両思い(に近い)状態だった――という展開を持って来るなら、その手前で、相手は違う人のことを思っているんだ、と主人公に確信させたら良い……ということを念頭に置いたら、大して悩むことなく、「最後の1ページ」をどう描いたら良いかが決った。この点、はじめ、最後の1ページに野球部の絵を描いておいて、実は主人公が昔、野球をやっていたことを喜久香は知っていた――と、しようと思ったけれど、800字の制限があったし、分りにくいのでやめた。
■喜久香に1万円で絵を描くよう頼んだのは野球部エース当人で、それで本当に描いてしまったところ、喜久香に大きな個性が出てしまったのは予定外。「友だちに1000円で頼まれた」と言わせても良かったのだけど、1万円で描いてしまう方が個性が強まるため、その誘惑に勝てなかった。ちょっと悩ましい。
■それにしても、短編は、なんて書きやすいのだろう。何を書くかを決めたら済んでしまう。そして書き上げれば気分爽快。短編礼賛。
また、長編のために必須の「ひとつ落し」それから「ミステリー感」などが短編で練習できることは分った。
それで「ミステリー感」をつくるため、橋の欄干から川面をのぞき込んでいる人がいる――自殺志願か? という感じで、800字の初稿を書き始めたが、馬鹿らしくなったのでやめにした。
当面、「ミステリー感」が課題。

「戦闘開始」作後贅言 2011/05/02

■PCの前に座って、投稿用の長編に区切りをつけて時計を見たら11時。
「あ、確か今日はクイックバトルの日だ」と思い出し、前の「えせくいっくばとる」の時は11時からだったから、ちょうど良いぞとテキスポを見ると、「10時30分からでっせ」と出ていて絶望する。
■耳栓、ひまわり、火炎放射器の3つの題も難渋で、今回は、無理だなと思いつつ、ツイッタを見ていたら、同じテキスポの人も遅刻参戦しそうな感じだったので、よしあたくしも――と、ひねり出たのが、「ひまわりの種で耳栓した男が火炎放射器で戦う」というもの。
……これ、どうするの?
とあきれつつ、とりあえず、ひまわり畑で戦う話で開始する。
火炎放射器VS刀。
あたくしが日本刀好きなので、相手は日本刀とする。

幕開けの設定ができたので、あとは、以前の「えせくいっくばとる」で使った、「後付け説明作戦」をとる。二人が戦うに至る理由、場所設定の理由なんぞを次々と書いて、話の糸口をつかむ。
この時点で、3つのお題のうち、耳栓の扱いを気にしない、もうとりあえず戦闘開始。
「あ、つまりタイトルは戦闘開始だ」
そして、戦って、戦って、決着がつく――あ、ついちゃダメだ。話がまとまらない。
というわけで、女を登場させて、話をまとめることとする。
……って、まとまらない。
ええい、まとまらないなら、開き直るだけだ。と、耳栓がうまくおさまったので、できあがり!
■久しぶりの短編。
このくらいのものなら書ける――と思いつつも、4ヶ月ぶりだったので、自分の書き方の変化を思う。
1)視点の自由
以前であれば、主人公の視点のみに固定していたに違いなく、最後で女が登場した瞬間、女の内心を描くことはなかった。長編を試みるなかで、この方法を認めた結果、話が自由になるし、各人物像が深まったように感じている。
2)地の文、対話文の緩急および背景描写
身についてきた気がする。
■何は、ともあれ、長編練習を重ねることで身につけた技法などを、良いかたちで反映・確認できたように思う。
1時間で書く――というものであるため、主題とかそもそもの出来不出来は、論外。

移転雑記 2011/04/27

■自分の小説を掲載しようと、大学へ入って、割と早い時期につくった「みなみやまページ」。
更新履歴を見ると、2001/6/22  ベータ版とあるから、開設からはちょうど10年が経過したことになる。
ページ開設に際しては、10年前には常識であった、ヤフー・ジオシティーズの利用も考えたのだけれど、Cool online にすればファイルアップロードが簡単だし広告無しの裏技も使えるよと、学友柴田くんに教えられ、あとは個人的に戦国島津氏がらみで好ましかったkagoshimaの地名を選んで設置、公開。
早いうちに、「訪問者など無い」ということを悟りつつ、でもKLASページへは多くの志望者が来てくれるようになったことはおもしろく、また自分のけじめとしての短編の掲載等を続けて、10年経つうち、「みなみやまページ」は相当愛着ある場となっていた。
で、それが廃止。
■開設から10年ということは、人目にさらしうるものをと念じて10年書き続けているわけで、その我身が今以てこんなありさまであるのは、我ながらあきれ果てるばかりではあるけれど、それでも、まあ、この移転が、習作10年の区切りになるような気がしてぼんやりする。
とはいえ、もはや修正変更もできぬほどに形成されたHTML倉庫は、半ば我が分身のようでもあり、それをそのまま新たなアドレスで掲載することは、結局は変らぬ自分自身の証左であるように感じて、ああ何のことはないと、ページ移転作業を続けている。

2011年始め。書き残したことなど 2011/01/06

■いい加減、日記ページを更新しようと思いつつ、面倒くさいのでそのまま書き継いできたら、前の日記、1年半以上に渡っていた。
ようやく新たなページとなった。
といっても書くことなんてほとんど無いのでどうしようかと思ったら、いくつか、作後贅言を書かずにそのままになっていることに気づき、慌てて書き残しておく。何か書いておかないと、忘れる。
■「折れ観音」
田原保見の霊源寺に、「折れ観音」は実際にある。
ただこれは、近代になって折れたものなので、小説とはあまり関係無い。
時代劇を書くに際して、せめて地理くらいは実感のあるものにしようと思った。その企みは、ある程度成功したように思われるが、やはり、物語の構成に難がある。人物も浅い。
困った、困った。
とはいえ、あれこれ試み、学んだ結果を年末の時代劇に書き込むのは悪くないと思った。
どこに送るかは決めかねるけれど、今年は歴史物に挑まねばなるまいと思う。
■「幕府転覆はじめました!」
おもしろいと思ったのだけれど、今結果を見たら、あっさり落ちていた。ひどいものである。
評価表が来るので、その後、考えてみよう。
キャラクター全開の近ごろのラノベは書けないと思いはじめているから、ラノベはいい加減にした方が良いかもしれない。でも負けっぱなしだからなあ。。。
■「年末年始」
800字小説バトルに出して、上位になったけれど、主催者なので、選外にしておく。評価されたことは満足。
あと、あたくしの小説が優勝しないことは、何となく分っていた。万人受けしない。
字数制限がきびしく、となかいと天使の性格を書き込むのに苦労した。
また、途中、鐘の音で場面を切り替える手法には満足。
この水準で、ラノベが書けたら楽しいだろうに。

■というわけで、新年。
今年は時代劇にもう一度、しっかりと挑むことを念頭に、あたくしはやはり、キャラクター命! の小説には向いていないのだと肝に銘じつつ、そろそろ真剣に書いて行かないと、精神的に危ないかもしれない。
と言いつつ、正月に、350枚のラノベの第二稿を終えたところ。
書き終えて、思うのは、
「戻るべきではない」
ということで、人間の行動を追っているのだから、前に戻って書き加えるのはおかしかったのかもしれない。
その人物が現に置かれた状況のみで、次の展開が起きる――それが、少なくともあたくしの書き方なんじゃまいかと思いつつある。
ということは、昔の、紙に書いて、できたらPCに入力するという方法を一度試してみようということで、それと平行して、自分のノートには、各人物の行動概略を描く必要がある。
■その他、「宇治拾遺物語」の現代語訳を進めている。第三巻へ入ったところ。平安時代も、いずれ書いてみたい。藤原良経。
また、「太平記」の資料を、ぼちぼち集め始める。
■万事、逃げてたらいけないなあと思う、正月明け。




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